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新潟在住の社会人がH-IIAロケット48号機の打ち上げを見に種子島へ行ってきたお話。
勤め先の予定と新潟空港の天候によっては行く前に旅を断念する可能性もありましたが、なんとかなりました。
打ち上げ見学旅行、GOします。
鹿児島へ行こう! 打ち上げ2日前(2024年1月10日)
1月10日(水)、いつもどおりお勤め先で仕事をする。今から24時間後には種子島にいるというのに、その実感は湧かなかった。
定時まで仕事をしたのち、今日中に鹿児島へ移動する。なお、新潟→鹿児島の直行便はない。
チェックインカウンターで「本日は空いておりますので窓側の席に移動できます」との提案があったので席を窓側にしてもらった。ラッキー!
手荷物を預けた後はラウンジで飲み物でも飲もうと思ったのだが、ラウンジの受付が18:30まででギリ間に合わず、断念。IBX88便は新潟空港の最終便。ラウンジが閉まるのも無理もない。
気を取り直していざ九州へ。CRJ700はふわりと飛び立った。
機内から新潟市中心部を撮影。夜のフライトは夜景が美しい。
フライト時間は130分とまあまあ長いので、年末からせっせこ描き進めていた光学8号機の擬人化イラストの色塗りを行った。
太陽電池パドルを塗る図
定刻より14分早く、CRJ700の翼は福岡空港に舞い降りた。Suicaで地下鉄に乗り、博多駅へ。博多駅から22:01発のさくら571号に乗る。
E4系Maxときデザインのパスケース。
九州新幹線さくら571号はN700系8両編成。この系列は発車時の加速度(起動加速度)が飛びぬけて高く(2.6km/h/s)、JR東日本の新幹線(~1.71km/h/s)にはない「座席に押し付けられる感覚」を味わうことができた。
九州新幹線の車内でJR九州の社歌である「浪漫鉄道」を聴く。一度やってみたかった。
♪~ 夢の列車がひた走る 人それぞれの 願いを載せて
23時25分、鹿児島中央駅に到着。漆黒に浮かぶ観覧車とヤシの木が出迎えてくれた。
この日は鹿児島市内で一泊。明日は始発の高速船で種子島へ渡る。
種子島へ行こう! 打ち上げ1日前(2024年1月11日)
朝。食パンをオレンジジュースで流し込み、いざ出発。
高速船ターミナルへの道中、あかつきの空に金星が浮かんでいました。
高速船ターミナルの三角屋根と金星(右上)
東の空に見える金星、明けの明星というやつです。
天気晴朗。絶好の種子島日和になりそうだ。
トッピー3と桜島 山頂の右側に噴煙が見える
ターミナルの受付で予約番号を伝え、チケットを発行。席の希望を聞かれたので、2階席の窓側にしてもらった。眺めがいいといいな。
思えば、最後の船旅は(軍港巡り等を除けば)2018年9月のH2Bロケット7号機見学の帰路でした。
この時は打ち上げ数時間前にロケットに異常が見つかり、打ち上げは中止に。失意の極みの帰りでした。あれから5年半も経ったのか…
7:30 トッピー3出港。鹿児島湾内を時速80kmで飛ばします。波もなくおだやかで快適な船旅…と思っていましたが、湾外に出たとたんに波が。揺られる。
やばい、気分が悪くなってきた…
5年半ぶりの船旅なので、酔い止めを買っておくなんてアタマはなく、こともあろうに乗船前にオレンジジュースを飲む体たらく。完全に油断してました。
(説明しよう!オレンジジュースなどの柑橘系飲料は胃酸の分泌を促進させ、乗り物酔いを加速させるのである。みんなは間違っても乗船前にオレンジジュースを飲まないように!)
幸い窓の外に西之表港の赤い灯台が見えました。陸だ!
空と同じくらい青い顔をして種子島に上陸。やれやれ
桟橋を進むとレンタカーの看板を持った方々が並んでいたので、そこから自分が予約したレンタカーの看板を見つけ、担当者から鍵を受領。書類に免許証番号を書いたり支払いをしたりして、無事レンタカーにありつけました。
せっかくなので港の周りを歩き、ロケットのモニュメントを撮影。
左:2018年2月撮影 右:2024年1月撮影
来たよ。
また、ここに。
この時の感情は言葉に言い表せません。懐かしさと高揚感が混ぜこぜになった感じ。
酔いもすっかり醒めました。
さて本日の目的は ①ロケット撮影場所の下見 と②機体移動見学 の2つ。
早速、①ロケット撮影場所の下見として
・長谷展望公園 (射点から6.3km)
・宇宙ヶ丘公園 (射点から7.1km)
へ行きます。
ロケット見学場の中には射点に一番近い(3.0km)「恵美之江公園」もあるのですが、38号機で下見&見学済みなので今回はパス。
恵美之江の様子はこちらを見てね。
あと今回、私は長谷展望公園でH-IIA F48の打ち上げを撮影します。理由は3つ。
①前回(H-IIA F38/恵美之江)とは違ったアングルから撮影したい
②恵美之江は事前抽選制で見られるかわからない
③大勢の観客と歓声を楽しみたい(長谷が一番大勢で見られる)
数少ないH-IIAの撮影機会を前回と同じアングルで撮るのはもったいない。H-IIAのいろんな表情を収めたいのと、打ち上げ見学場の中で最も多くの観客が訪れる長谷展望公園で、みんなで打ち上げを楽しみたい。
そんな想いがあり、今回は長谷に決めた。
車を走らせ、種子島の南北の港を結ぶ二桁国道の58号線を南へ。ちなみに二桁国道は58号線が最後で、59~99号(100号線も)は欠番。
最後の二桁国道を走っていると考えると、ずいぶん遠くまで来た気がします。
長谷展望公園への道中、西の沖合にピンク色の船が見えました。
望遠レンズの試写を兼ねて撮影。
あれは密航船…もとい、鹿児島~種子島~屋久島を結ぶカーフェリーの「はいびすかす」でした。
きっとあの船には種子島で打ち上げを見ようとする酔狂な旅行者が乗っていることでしょう。
それにしても…貨物船みたいな、というか元貨物船の見た目が旅心を誘う。いつか乗ってみたいものだ。
そんなこんなで長谷展望公園に到着。やっぱり広い!公園の向こうには宇宙センターが見える。
本来であれば1月11日の今日打ち上がるはずだったのだが、今はだれもおらず。
雲一つない青空も相まって、なんだか寂しい。明日(打ち上げ日)の天気は曇りの予報だからなおさらね。
生垣近くの芝生に三脚を立てる。一眼レフカメラに望遠レンズ(150-600mm)をセットし、射点を撮影。
長谷展望公園から射点方向を望む
左:APS-C 150mm 右:APS-C 600mm どちらもトリミング無し
ああ、VAB(白い四角い建物)がある。VABを見て、やっと種子島に来た実感が湧いた。
ここは宇宙への玄関口。数々の宇宙機が旅立った場所。
明日、情報収集衛星 光学8号機も此処から・・・
感傷に浸りつつ撮影画像を見る。…600mmのズーム力すごいな!!
150mmでも打ち上げ撮影には十分なくらいなのだが、600mmだと紅白の鉄塔までハッキリと写る。
これなら十分、H-IIAの雄姿を撮れそうだ。機体に書かれた「NIPPON」の文字まで読めたりして?
期待を胸にお次は宇宙ヶ丘公園へ。H-IIA 38号機で下見した時は雨で視界が超絶悪かったので、晴れの時にここに来たかったのだ。
宇宙ヶ丘公園から射点方向を望む (APS-C 135mm)
宇宙ヶ丘公園から見えるテレメータ設備
あたたかな日差しを浴びながらシャッターを切る。現実離れした、まるで夢のような光景だ。
つい24時間前は雲と雪の里(新潟)にいたのだ。それが今や海と青空の島にいる。頭と身体がやっと理解してきたよ。
さて打ち上げ見学場の下見はできたので、次にH-IIA 48号機のグッズ探しといこう。ミュージアムショップのある種子島宇宙センターの「宇宙科学技術館」へ移動開始。
宇宙センターへの道中、町のあちこちに「打ち上げ成功祈願」の看板やのぼりがが立っていた。
打ち上げ成功を願っているよ、私も!
H-IIAロケット48号機には、私にとっても特別な、大事な衛星が載っているのだから。
光学6号機の待つ宇宙へ、無事に光学8号機が辿りついてほしい。そう願わずにはいられない。
南種子町にて。街の人の暖かい心遣いに胸が熱くなる。
宇宙ヶ丘公園から15分ほどで種子島宇宙センター(TNSC)へ。TNSCには守衛とか駐車証とかそういうのはないので、そのまま敷地内を走って駐車場へ。
宇宙科学技術館に到着。受付で名前を書き早速ミュージアムショップへ直行。
あった!グッズだ!
H-IIA 48号機のTシャツとピンバッジ!
さて、買うべきだろうか?
今ここで買ったとしても、明日打ち上げを見られるかは分からない。
H-IIB 7号機みたいに打ち上げ数時間前に中止になるかもしれないし(実体験)、
H-IIA 47号機みたいに打ち上げ26分前に強風で中止になるかもしれないし、
H3試験機1号機のようにメインエンジンが点火しても打ち上がらないかもしれないんだ!!
中止になった時の悲しみは計り知れない。
買いました。
打ち上げ後に買いに来て売り切れになっていたら悲しいし、なにより光学8号機の擬人化ちゃんイラストまで準備してきたのだ。覚悟決めろ.
その後、宇宙科学技術館のメッセージボードに打ち上げ成功祈願のメッセージを書いた。
「祈成功 H-IIA F48 IGS K8」
IGS K8:情報収集衛星(Information Gathering Satellite)光学8号機の略称。
「光学8号機が無事に宇宙へ行く」。これこそが私の願い。宙の向こうに届きますように。
そのあとは宇宙科学技術館を駆け足で見て回った。日が出ているうちに機体移動の見学場所の下見をしたいからね。
そう、今夜H-IIAロケットの機体移動がある。
もし打ち上げが延期になっていなかったら、私は機体移動を見ることはできなかった。機体移動の時間帯は新幹線に乗っていたことだろう。延期のおかげで得られた機体移動見学の機会、絶対無駄にはできない!
前回のH-IIA38号機の機体移動は竹崎のロケットランチャー付近(竹崎射点)から見た。今回もそこで見ようかと考えましたが、前回と同じ視点と言うのはやはり勿体ないと感じ、別の場所にすることに決定。
とはいえ竹崎射点も下見しておきましょうか。
竹崎射点へ向かう道には駐車場を示す看板もアリ。機体移動見学の定番スポット感が漂います。
6年ぶりの竹崎射点へ、行くぞーー!
地図上部の「見学・撮影ポイント」へ向かう
地図はH-IIA 38号機 打ち上げ見学旅行記(3)より抜粋
さあ見学・撮影スポットへ向かうと
「これより先 立入禁止」
…閉ざされている!?
次回、「機体移動を見よう」